アスレチックトレーナーチーム BIGBEAR

BIGBEAR Trainer's Technique Vol.3

フィジカル・プログラムを導入しよう

春のシーズンを迎え、新たなチーム、新たな学年になり、フィジカルトレーニングやフィットネストレーニングなども新たな方法や内容の改善など、どのチームでも色々と取り組んでいる事と思います。今回、競技パフォーマンスを向上させるために必要不可欠なフィジカルトレーニングの種目について紹介していきます。 是非自分たちのチームで実践してみてください。

1. Aerobic(有酸素運動)

6. Balance(バランス)

2. Flexibility(ストレッチ)

7. Strength(筋力)

3. Coordination(調整・協応性)

8. Speed(スピード)

4. Agility /Quickness(俊敏性/瞬発性)

9. Local Muscular Endurance(筋持久力)

5. Reaction(反応)

10. Cardiovascular Aerobic Capacity & Endurance (耐乳酸/スピード持久力)


1. Aerobic(有酸素運動)

単にジョギングを行うだけではなく、100mを往復しながら徐々にペースアップしていくようなエクササイズも良いと思います。実際に80%のランニングは有酸素とはいえませんが、プログラム全体の効果を考えたうえで、有酸素のカテゴリーに入れることで、単に脂肪を燃焼させるマラソンのようなランニングだけのプログラムにとどまらないようにします。

スピードチェンジ
グランドの往復ジョグを基本とし、距離を決めスピードに変化をつける。
10往復や20往復などと回数を設定したり、時間を設定してもよいと思います。

リアクションジョグ
ジョグの中に、合図により、ジャンプ・ステップ・しゃがんで地面をタッチするなどの様々な反応を入れる。



2. Flexibility(ストレッチ)

一般的な静的・動的ストレッチ、パートナーストレッチもありますが、ランニングプログラムの中に取り入れて行うステップ系のストレッチエクササイズもあります。

Ham Skip
スキップのリズムで、前脚を振り上げる

Hip Skip
同じくスキップのリズムで、股関節を腹痛状態から、大腿を前に回旋します




3. Coordination(調整・協応性)

システムモデルとノンシステムモデル・・・一つは、リズムよく一定の流れを進めていくものです。たとえば、コーンを一定間隔で一列に並べ、ジグザグに走り抜けることや、同じステップを繰り返す動作のように、システムが決まっているものに対しての身体調整能力と考えています。もう一つは、先ほどのリズムを一定でなくしてしまうものです。先ほどのコーンに置き換えると、一列に並んだコーンは一定間隔ではなく、狭いところや間隔があいているところを作ることによってジグザグに走るには、困難なシチュエーションに変わります。この様にシステムが決まっていないものに対しての対応能力を求めるものです。

スラローム

スラローム
カラーコーンを一直線上に並べ、各コーンの間に2〜3ヤードの距離をとる。スピードを落とさない事とボディバランスの維持がポイント(コーンの色、高さはランダムに並べる)


チェンジスペース


チェンジスペース
各コーンの距離をずらすことによって、タイミングがずれスピードが低下しがちになるところを、あえてスピードを落とさない様にし、バランスを維持し続けることが重要です。




4. Agility /Quickness(俊敏性/瞬発性)

俊敏性や瞬発性は、多くのチームが取り入れているプログラムです。足幅をとり、低い姿勢でその場で低い姿勢のまま足をステップするジャブステップのようなものや、ステップ用ラダーやミニハードルなどを使用したプログラムも最近ではメジャーなプログラムになっています。
この様なプログラムは足先(小さなステップ)の速い動きを要求することが多いように思いますが、多くのスポーツは、“速く動く”=“速く移動する”ことが重要ですので、基礎的なステップ動作に加え、股関節を使った大きなステップのAgility とQuicknessを求めることも重要と考えています。

“T”スプリント

 

スプリント、ターン、サイドステップ、バックペダル、全ての動きが組み込まれた種目です。
各コーンの距離は約5yd。
*各コーンの距離や、条件を正確に設定しておけば、コントロールテストの一環としても活用できます。



5. Reaction(反応)

反応は、集中力の必要なプログラムです。毎回同じ合図やシグナルでは反応は効果を半減させてしまいますので多くのバリエーションが必要です。
ホイッスルや、声による合図の“聞く反応”。手を上げたり、フラッグを使った“見る反応”。動きを理解したうえでの“動作への反応”などを、ステップ・ジャンプ・スプリント・ターン・アップダウン(起き上がり動作など)と組み合わせることが必要です。この動きをプレー動作に結びつけることも良いと思います。

アジリティーリアクション

 
 
@ツイストリアクション  
@サイドジャンプ

ボールリアクション

 


6. Balance(バランス)

バランスも多くの種類があります。平衡バランス・動きのバランス・身体バランス・筋力バランス・神経系バランスなどが考えられます。最近ではアンバランストレーニングによるプログラムが目立ちますが、フィジカルでのバランスは、平衡バランスと動きのバランスが上げられます。

SCARECROW(スケアクロウ:かかし)



7. Strength(筋力)

強い筋力の発揮を必要とするプログラムです。フィジカルプログラムとしてのストレングスプログラムは様々な動きと結びついたストレングスエクササイズといえます。ジャンプ系では、スクワットジャンプ・プライオメトリック・タックジャンプ・バウンディング。レッグランジ系は、ランジウォーク・サイドランジ・ランジジャンプ。ステップ系は、ステイロースキップ、ジャンプ、ステップなどがあります。

タックジャンプ
その場、或いは少しずつ前に進みながら、両足ジャンプをします。この時、頭や腰の位置は出来るだけ同じ位置をキープし膝を巻き込むようにアンプを反復します。

   

捻りを加えるとさらに難しくなる。



8. Speed(スピード)

スピードプログラムは、距離・セット数・反復数・コース設定などの組み合わせによって、選手に求める事を変化させます。

ファンダメンタル
走るための基礎の習得として、ランニングフォームを部分的に強化します。

アームスイング マーチウォーク&スキップ
ウォールスライド トーイング

レジストスプリント

上り坂スプリント・階段上り・タイヤ引き走・チューブ・スレッドランニングなどの種類があります。負荷がかかった状態で走ります。

アシストランニング

下り坂やチューブによる牽引を利用したランニングで、自分の走力では経験できないスピードを体験することが出来ます。このオーバースピードといわれるトレーニングは、広げたストライドでピッチ数を増やすことに目的があります。




9. Local Muscular Endurance(筋持久力)

一つの動きを繰り返し継続することに負荷が加わると、その筋肉には乳酸が発生しやすくなります。乳酸が発生する時期を遅らせることで、反復回数や継続時間は増えてきますので、この種のトレーニングは筋持久力の種目といって良いと思います。

ランダム スクワット
自体重で行うスクワットですが、同じリズムで行わず、膝屈曲時にアイソメトリックの時間をランダムに入れることで、乳酸を発生させます。



10. Cardiovascular Aerobic Capacity & Endurance
(耐乳酸/スピード持久力)

耐乳酸持久力ですが、ミドルパワー的な位置づけです。300m・400m走や、シャトルランなどもこのカテゴリーに入れています。心肺機能と耐乳酸閾値の向上を目的としているエクササイズです。
オールアウトになる可能性のあるプログラムですから、練習の最後に、残った力を振り絞って走りきるといった感じになる為、メンタル的にもポジティブに行うことが望まれます。ROCBULLでは、ガサーズ(gassers)というプログラム名で行っていますが、これは、ガス欠という意味です。練習が終わった後にみんなで残った力を出し切ることを意味しています。

◆練習スケジュールへの落とし込み
1から10の“Sports Performance factor”を年間のスケジュールの中に組み込みます。期ごとの戦術的到達目標、体力的到達目標に合わせたトレーニング設定が必要です。期分けへの組み込みが出来たら、具体的な練習メニューへの落とし込みを行い、実際の練習内容へ還元していきます。目的が重ならないように、期分けの中にカテゴリーを決定し、期ごとに必要となる運動能力を考えていくことが必要です。